16134 「答えに窮した内藤教授」の反論 2

2008/ 1/16 18:03 [ No.16134 / 17345 ]
投稿者 : take_8591


 私は、「この主張に対する有効な反論は為されていません」と述べました。
 以下、私が有効ではないと考える反論を紹介します。


 半月城さんは、[ No.16105 ]において、次のように述べられています。
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『日本地誌提要』は、竹島・松島を「隠岐」条にてこう記しました。
  ○本州の属島。知夫郡45。海士郡16。周吉郡75。穩地郡43。合計179。これを総称して隠岐の小島という。
  ○また、西北にあたり松島・竹島の2島がある。土俗が伝えている。穩地郡の福浦港から松島に至る。海路はおよそ69里35町(275km)。竹島に至る。海路およそ100里4町(393km)。朝鮮に至る海路およそ136里30町(537.3km)。
  このように官撰地誌において竹島・松島が本州の属島外とされましたが、これは重要です。明治政府が両島を日本の領土外と断定したことを意味します。
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 一方、田中さんは同じ部分を次のように紹介しています。
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島嶼
  島津島。・・・
  松島。一名島山。海士郡豐田村ニ屬ス。・・・・・・
  大森島。・・・
  ○本州ノ屬島。知夫郡四拾五。海士郡壹拾六。周吉郡七拾五。穩地郡四拾三。合計壹百七拾九。之ヲ総称シテ隠岐ノ小島ト云。
  ○又西北に方リテ松島竹島ノ二島アリ。土俗相傳テ云フ。穩地郡福浦港ヨリ松島ニ至ル。海路凡六拾九里三拾五町。竹島ニ至ル。海路凡百里四町餘。朝鮮ニ至ル海路凡百三拾六里三拾町
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  このように官撰地誌において竹島・松島が「本州の属島外」とされましたが、これをもって「明治政府が両島を日本の領土外と断定したことを意味する」と半月城さんは主張しています。これは重要です。
  田中さんの紹介記事を見れば明らかなように、竹島・松島は「本州の属島外」であるけれども、「本州の島嶼内」であると記されています。すると、「明治政府が両島を日本の領土内と断定した」とまでは言えないとしても、「両島を日本の領土外と断定していない」ことを意味すると思われます。



 半月城さんの[ No.16105 ]は更に次のように続きます。
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  明治時代の地理学者である田中阿歌麻呂もそのように理解して『地学雑誌』200号にこう記しました。
 「明治初年に到り、正院地誌課にてその島(竹島=独島)が本邦の領有を完全に非認したので、その後の出版された多くの地図はその所在を示さないようである。明治八年 文部省出版 宮本三平氏の日本帝国全図にはこれを載せても、帝国の領土外に置き塗色せず」
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 一方、田中さんは「地学雑誌」を次に紹介しています。
 地学雑誌 第200号
 地学雑誌 第210号

  田中さんのHPによると、田中阿歌麻呂は地学雑誌210号で、「本誌200号に掲げた記事は、全く竹島の記事に非ずして、鬱陵島の記事なるが如し。」と半月城さんが紹介した記事を訂正しています。もっとも、私程度の知識でも、200号の記事を読んで「リャンコ島とダジュレー島を混同しているな」と感じることが出来ました。



  半月城さんの[ No.16105 ]は更に次のように続きます。
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  明治政府は、竹島・松島を日本の領土外とする方針をその後も一貫して堅持しました。
  その一例として明治政府の地籍編纂事業をあげることができます。明治10(1877)年、竹島(欝陵島)の地籍が問題になった時に内務省は元禄期の「竹島一件」を考慮し、竹島外一島を日本の領土外と判断しました。
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  半月城さんは、「地誌提要」と「地学雑誌」を主たる証拠をしてリャンコ島が日本の領土外であると主張し、太政官決定は「その一例」として紹介しています。
  しかし、上に述べた様に、「地誌提要」と「地学雑誌」は、その全体をみれば日本の領土外であることを示していないにも関わらず、その部分のみを抽出すれば都合の良い部分があったので引用したと認められます。すると、「その一例」たる太政官決定でも同様の誤謬を犯していると考えられます。


返信


これは メッセージ 16130 take_8591 さんに対する返信です

  • 最終更新:2009-03-03 06:53:54

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